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連載

西風 391

維新と距離置き始めた関西財界

2013年12月号


 東京が知事のスキャンダルで揺れる中、西の大阪では日本維新の会の橋下徹共同代表が小さな騒動を繰り返しているが、もはや全国メディアではほとんど取り上げられなくなった。ここにきて「関西の財界が距離を置き始めた」(在阪社会部記者)という。維新の会の大阪府議が力なく語る。
「自民党復活の中で財界もシフトを変えてきたが、地下鉄を巡るドタバタがこれに追い打ちをかけた」

 地元財界の雄、関西電力が原発再稼働問題で逆風にさらされ、パナソニック、シャープといったメーカーが凋落する中でカギを握ってきたのは私鉄各社だ。「私鉄王国」の関西で関電の代理人として原発再稼働を働きかけるほか、我田引水も画策してきた。その最たる例が市営地下鉄の民営化だ。

「地下鉄の初乗り運賃を二十円値下げする」
 橋下大阪市長は十月、市役所で行われた記者会見で突如としてこうぶち上げた。「公営交通の運賃値下げは例がない」(国土交通省)といい、安いものには目がない大阪市民がもろ手を挙げて歓迎しても不思議ではない。しかし、大阪市民の反応は鈍い。
「初乗り運・・・