クラシック音楽の「別天地」東京
名門楽団「来日ラッシュ」が叶う街
2013年12月号
五日パリ管、八日から十七日までのうちの七日間はウィーン・フィル、十六日アムステルダム・コンセルトヘボウ管、十八、十九日ベルリン・フィル―二〇一三年十一月の東京・サントリーホール大ホールの稼働状況を示す日程表に記された使用団体名である。わずか半月の間に、世界の四大名門オーケストラが立て続けに演奏会を開催しているのだ。そればかりか、東京に八団体あるプロオーケストラは定期演奏会を開いている。ラッシュ直前に帰国したチェコ・フィル、名門集中来日でサントリーホールが借りられなかったバーミンガム市響や、横綱級楽団が去るのを地方で待ち東京に乗り込むツウに評価が高いブレーメン・ドイツカンマーフィルまで加えれば、十一月の首都圏での外国オーケストラ演奏会はとてつもない数になろう。
サントリーホールの楽屋裏で日程表を目にしたパリ管のコンサートマスターは、「どうしてこれをフェスティバルにしないの?」と真顔である。東京でベルリン・フィルが行った記者会見でも来日ラッシュは話題となり、「私たちだけが決めることではないので」と肩をすくめる音楽監督ラトル氏を受け、楽団代表のリーゲルバウアー氏は東京の異様さを・・・