《政界スキャン》346
政権に亀裂生む「軽減税率」問題
2013年12月号
早いものだ。あれから一年。前首相の野田佳彦と現首相の安倍晋三が党首討論で渡り合った光景がよみがえる。議員定数削減を条件に解散カードを切った野田の迫力に安倍はたじたじだった。選挙結果は安倍自民の完勝となるが、いまだ自民党内には隠れ野田ファンがいるほど印象的な場面だった。
そして、アベノミクスを立ち上げて一年。一強多弱と呼ばれる強い政権基盤を築きつつある安倍だが、時代が解決を求める課題の水準はなお高い。元首相、小泉純一郎の原発ゼロ発言もそうだが、もっと目先の厄介な問題として消費増税に伴う軽減税率導入問題がある。そこでは、もう一人の野田と対決しなければならない。
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もう一人の野田とは、野田毅自民党税制調査会長(七十二歳)のことである。結論からいえば、野田は軽減税率導入に反対である。せっかくの税収が兆単位で失われるし、後述するがとても困難な政治的力量が求められるからだ。従って、すでに法的には決している二〇一五年十月の一〇%上げまではその姿勢を堅持しようと腹を固めている。
一方で、連立相・・・