改革より「強権支配」を選んだ習近平
「三中全会」での知られざる権力闘争
2013年12月号
異様な総会になった。十一月九日から十二日まで開かれた中国共産党の第十八期中央委員会第三回総会(三中全会)は、発足一年を迎えた習近平政権が中長期の路線、政策を内外に示す重要な節目だ。その場を使って習近平総書記は独裁的権力者となることを表明したといっていい。
念頭には「プーチン型権力統治」
中央委員会総会は北京市の西にある「西郊賓館」で開かれるのが恒例だ。軍の管理するこのホテルに入ると総会出席者は外部から完全に隔離され、閉会直後に新華社が簡単なコミュニケを流すまで情報は一切遮断される。
だが、今回の三中全会で新華社がコミュニケを流し始めたのは夜七時を回っていた。異例の遅さだ。しかも、長い文章ではないにもかかわらず、段落ごとに断片的に流された。文案修正が繰り返された証拠だ。
これまで三中全会は経済政策が中心になるのが慣例だった。だが、今回のコミュニケの主な内容は「国家安全委員会」「全面深化改革領導小組」という新組織の設置であった。どのような組織か判然とせず、労働改造制度の廃止、産児制限政策の緩和など、そのほかの政策は事前に予想され・・・