「科学技術大国化」を急ぐ中国
海外帰国組の「情報盗用」が寄与
2013年12月号
海亀政策―。中国では、海外に留学した後に本国へ帰国することを「海亀」という。海外から戻ることを意味する「海回」と発音が似ていることが語源だが、大洋に旅立った後に産卵のために故郷の砂浜に戻ってくるウミガメの習性をも表す絶妙な造語だ。
「海亀」は古くは十九世紀から当時の清で生まれた概念であり、最近では海外への留学生が増加し始めた一九九〇年代から政府が繰り返し呼びかけてきた。俗に「海亀族(派)」と呼ばれる帰国者は近年増加しており、それと軌を一にするように中国の科学技術力が伸長している。
国策で増加する研究費
九月末に『中国科学報』電子版は、中国の国際学術論文の被引用数が世界五位になったと報じた。「二〇一三年度中国科学技術論文統計」の数字で、同国がこれまで掲げてきた二〇一五年までに世界五位になるという目標を前倒しして実現したことになる。また、三大科学誌『ネイチャー』『サイエンス』『セル』に掲載された論文数も、世界第九位で前年度よりも順位を一つ上げた。
中国は二〇〇〇年代に入り論文発表数を増加させてきた。従来は「中国の論文は粗製濫造」というイメ・・・