ソフトバンクの危うい「株価膨張」
「時価総額増大経営」に急旋回
2013年12月号
「ソフトバンクグループの新たな主役として迎え入れることにした」
十月三十一日、ソフトバンクの孫正義社長は決算説明会の壇上で一人のフィンランド人を紹介した。オンラインゲーム大手「スーパーセル」のイルッカ・パーナネンCEOだ。ソフトバンクは十月十五日、同社の発行済み株式の五〇%超を約一千五百億円で買収した。スーパーセルのゲーム「CLA
SH of CLANS」は全米で九週連続人気ナンバー1の戦略ゲームだが、日本でも米アップルのiPhoneやグーグルのアンドロイドOS向けにリリースされ人気に火がついている。
九月にNTTドコモがiPhoneを発売したことで、ついに日本の携帯電話会社三社がiPhone取り扱いで横並びとなった。だが、ソフトバンクの競争力と独自性は薄れたと思いきや、孫社長はすでにiPhoneは卒業し、別の方向を見ているといわんばかりの意表をついた買収劇だった。
「ゲームを制するものがスマホコンテンツを制する」と孫社長は主張する。アップルの「アップストア」やグーグルの「グーグルプレイ」といった配信サイト上には約百万ものタイトルが並ぶが、「ゲームがタイトル数の・・・