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WORLD

同盟国を裏切る米国

国際秩序は崩壊の瀬戸際に

2013年12月号特別リポート


 モスクワに亡命した米中央情報局(CIA)元職員による情報リーク機関になっている英ガーディアン紙は「歴史的成功だ」と有頂天になっているが、果たしてそうなのか。

 イランの核開発疑惑をめぐり、欧米など六カ国とイランの閣僚によるジュネーブでの会議では、確かにイランの核開発を縮小し、欧米が経済制裁の一部を緩和することで合意した。その半面で、イランと対決するサウジアラビアは完全につむじを曲げ、反米路線に踏み出している。米国の盟友であるイスラエルは交渉の初めから「歴史的失敗」と連呼してきた。

 合意したのは国連安保理常任理事国である米英仏中露の五大国+ドイツとイランの七カ国だが、フランスは終始イランに対する制裁措置の緩和に反対してきた。ドイツはメルケル首相の携帯電話が米国家安全保障局(NSA)によって盗聴されていた事件が発覚し、十月末から十一月にかけて国内世論は反米で大騒ぎになった。反米ムードは盗聴の対象になったスペインなど欧州各国も同様だ。それよりも何よりも、ドイツはあたかもイスラエルの同盟国のように振る舞ってきたはずなのに、イスラエルの・・・