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WORLD

絶好調の「新興資源国」モンゴル

中国を苛立たせる「内陸のカタール」

2013年11月号

 モンゴルというと草原の国のイメージが浮かぶが、中国と国境を接する南部には広大なゴビ砂漠が広がっている。かつては黄砂のもととなる砂煙だけが舞う、経済的には何の意味もないと思われていた地域だが、今、モンゴル自身はもちろん東アジア、中央アジアの地政学を塗り替えかねないホットな場所になりつつある。  七月上旬、ゴビ砂漠の一角、オユトルゴイから十数台の大型トラックが南に向け、砂塵に覆われた道路を出発した。積んでいるのは銅鉱石。オユトルゴイ鉱山で生産された鉱石だ。オユトルゴイには金、銀、銅、亜鉛など数十種類の鉱物が眠る大鉱脈があり、南米チリのエスコンディーダなどと並ぶ世界最大の銅鉱山といわれる。  その鉱山を英豪系資源会社のリオ・ティントが六十二億ドル(約六千億円)を投じて開発した。豪州に保有資源が集中するリオ・ティントとしては鉱山の地理的多角化を進めるための戦略投資だった。もちろん需要の裏付けは十分にあった。南の隣国、中国で経済成長によって電力用ケーブル、通信回線、電子機器向けなどに銅需要が急増しているからだ。  中国は今や世界の銅需要の半分近くを占める銅消費大国で、経済成長・・・