早くもどん詰まりの「リコノミクス」
「上海自由貿易試験区」が露呈する絶望
2013年11月号
今、世界のエコノミストや中国ウオッチャーの頭を悩ませているのは、中国政府が打ち出した「上海自由貿易試験区」の評価だ。「改革開放を新たな段階に進める」「成長メカニズムの転換への大きな一歩」「サービス・金融産業の発展を加速する」など美辞麗句が中国政府から世界に向け発信されてはいるものの、この試験区で具体的に何ができるのか、何が外資系企業にとって有利になるのか、何も見えてこないからだ。
まるで売れ残りのパック詰め
まことに奇妙な自由貿易区だ。上海市内にばらばらに位置する上海市外高橋保税区、外高橋保税物流パーク、浦東空港総合保税区、洋山保税港区の四つの保税区をまとめて上海自由貿易区と呼ぶ。名前で分かるとおり、空港と港湾が組み込まれており、四地区を車で回るだけで何時間かかるか分からないほど離れている。洋山港にいたっては上海市郊外からさらに三十二・五キロもの海上橋を渡ってようやくたどり着く。二十八・七八平方キロの面積を持つ一大貿易区といわれても、一体性は何もなく、しかもすべて既存のものだ。言葉は悪いが、売れ残りをパックに詰めて新しい商品名を付けたにすぎない。
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