大阪の商家で最も大切にされてきた商道徳が「始末」だ。始末が悪い、始末書などといった使われ方をするが、「浪費をしない」という意味もある。無駄を徹底的に排除せよという教えである。

　ＬＣＣ（格安航空会社）元年と言われた昨年、国内三社が相次いでスタートしたが、ここにきて明暗は鮮明になっている。関西空港に本拠を置くＡＮＡ系のピーチ・アビエーションは国内路線での搭乗率八〇％に迫る勢いであり、成田空港を拠点としたＪＡＬ系のジェットスター・ジャパンや、ＡＮＡとマレーシアのエアアジアの合弁であるエアアジア・ジャパンを大きく引き離している。

「さまざまな原因が語られているが、無駄を嫌う大阪人の気質とＬＣＣがマッチしたことが実は最大の勝因ではないか」

　全国紙経済部記者はこう語る。そのことを証明する光景を空港とは無縁の大阪・梅田で見ることができる。四棟の「大阪駅前ビル」の地下一階、二階には二十六軒ものチケットショップが入居している。周辺を入れると五十もの店がひしめく格安チケットの激戦区であり、どの店も繁盛している。

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