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政治

《罪深きはこの官僚》布村幸彦(文部科学省高等教育局長)

奨学金改革を 遅滞させる責任者

2013年11月号

「交通遺児として奨学金で大学を卒業した下村博文文部科学大臣の思いばかりが上滑りしている」

 文科省の検討委員会委員の一人はこう語る。九月四日に、文科省の「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」は、中間報告を公表した。全体としては給付型を増加し、貸与型奨学金を有利子から無利子へすること、延滞した場合の金利の見直しなどが含まれている。極めて常識的な内容に見えるが、あくまで提言に過ぎない。

 最近、有利子奨学金を抱えた多くの滞納者の「残酷物語」が繰り返しメディアで取り上げられている。しかし、奨学金問題は本誌二〇一二年四月号「奨学金『取り立て』ビジネスの残酷」で既に取り上げている通り、以前から問題となってきた。今回の提言内容にも、目新しいものは何一つない。文科省担当記者の一人はこう語る。

「文科省は、できるだけ現在の枠組みを温存したい」

 前出検討会は高等教育局長の下に今年四月設置され検討を重ねてきた。その局長が布村幸彦であり、省益のために改革を遅らせている事実上の「戦犯」だ。

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