慢性化する米国「デフォルト危機」
逃避資金の流入で日本株はまだ上がる
2013年11月号
「たしかに最悪の核爆発は回避されたがね。しかし原発事故はまたいつ起こるか分からなくなった。病気に例えれば慢性化したようなものだね」
旧知のヘッジファンドの運用担当者はこう嘆息する。一連の米国連邦債務上限問題をめぐり、万一、米国債のデフォルトが発生していたら、ドル暴落、長期金利急騰(国債価格の急落)が同時に発生していただろう。
その最悪の事態こそ回避されたものの、十月十六日に米上院の与野党で合意された内容は短期の暫定予算案と二月までの債務上限引き上げにとどまった。来年早々、再びオバマ政権が共和党のティーパーティー派に苦しめられること必至の情勢に何ら変わりはない。
改善される要素は見当たらない
では現在、運用担当者らはどのような戦略をとっているか。ごく一部は韓国、台湾、それに独、仏などの株式市場に向かっているが、いずれも売買量は大きくない。そこで米国株は売りのオプション買いに加え、米国債の先物売り、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)売りが主力だという。
「一連のデフォルト危機の局面において銀行は大量の預金引き出しに備え現金の準備・・・