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米政治を牛耳る「薬と保険」

TPPでも日本を狙う「最強ロビー」

2013年11月号

「決められない米国政治」は、医療保険改革をめぐってついに二週間以上の政府機関閉鎖という茶番を引き起こし、国際的な信用を失墜させた。底流にあるのは、米国の製薬・保険業界が、経済と政治に巨大な影響力を持つという事実である。この両業界こそが、共和党保守派「ティーパーティー(茶会)」を製薬・保険ロビーの実行部隊として操り、米政治を機能不全に陥れた元凶なのだ。  一方で米国の製薬業界は、海外では競争相手を封じ込めるため自由貿易協定(FTA)を駆使している。現在交渉中の環太平洋経済連携協定(TPP)にも業界の利益を全面的に反映させようと画策中で、日本の製薬大手をその隊列に組み込んでいる。

茶会と製薬業界の切れない縁

 オバマ大統領が「誰も勝者はいない」と切り捨てた今回の政府機関閉鎖騒ぎで、「名声」を確立した政治家がいた。四十二歳のテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)である。二十一時間超のマラソン演説に加え、妥協に最後まで反対し、決着後は共和党指導部を激しく非難した。父親がキューバ出身で、カナダ生まれのクルーズについて、「次期大統領の資格(米国生ま・・・