鉄鋼業界で新たな再編観測が浮上
経産省による時代遅れの「産業政策」
2013年10月号
鉄鋼業界でいま、ステンレス事業をめぐる新たな再編観測が急浮上している。旧新日本製鐵と旧住友金属工業の事業統合で二〇〇三年に設立された国内首位の新日鐵住金ステンレス(NSSC)に、日新製鋼と日本金属工業が経営統合する形で昨年十月発足したばかりの同二位、日新製鋼ホールディングス(HD)が合流する「大連合」(業界関係者)構想―がそれだ。
青写真を描いているとされるのは経済産業省だ。安倍晋三政権が成長戦略の柱の一つとして十月十五日からの臨時国会に提出を予定している「産業競争力強化法案」。それに盛り込まれる「産業の新陳代謝策」を具現化したモデルケースに仕立て上げる腹積もりらしい。再編が必要な業界を経産省が調査・公表し、企業の再編計画を認定すれば減税などの優遇措置を受けられるようにするというもので、いわば国主導による業界再編策。「産業政策」の名のもとに旧八幡・富士合併など重厚長大分野を中心として次々と企業の合従連衡を推し進めていったかつての通商産業省時代の栄光を取り戻したいと希求する、一部の経産官僚らによる「夢の結晶」(事情通)ともいわれている。
世界に溢れるビッグプレーヤー・・・