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経済

政投銀「民営化」を阻む輩たち

いまやリスクを投げ込む「ごみ箱」

2013年10月号

「政投銀問題が再開される」―こう言っても、いまや、何のことやらという向きが少なくないだろう。それほど歳月が流れてしまったが、本来であれば、今ごろは日本政策投資銀行(政投銀)は民営化されているはずだった。政投銀をめぐる近年の紆余曲折ぶりを振り返ってみよう。  政投銀をはじめとする政策金融の民営化路線が決定したのは二〇〇三年、時の小泉純一郎政権だった。だがその後、〇八年九月に発生したリーマン・ショックによる流動性危機の深刻化を背景に、政策金融機能を重視する声が政界を中心に活発化、政府出資が一二年三月末まで延長されるという「民営化凍結措置」がとられた。そこに、一一年三月に発生した東日本大震災が重なり、政府出資可能期間が一五年三月末までさらに三年間延長されることになる。その際、決定されたのは「二〇一五年三月末をメドとして、政府による株式の保有のあり方を含めた政投銀の組織のあり方などを見直す」という方針だった。 「世界的な金融危機」「未曽有の大震災」という深刻な事態が相次いだなかで、棚上げが繰り返されてきた政投銀の民営化問題だが、ここにきてようやく、その論議が再開されるムード・・・