「ドコモ参戦」で窮地のKDDI
もはや二社しか生き残れない
2013年10月号
「LTEのエリア競争はこの秋にはKDDIのダントツ勝ちに収束すると思っている」―。
KDDIの田中孝司社長は九月二日、都内で記者会見しこう述べた。二十日に発売された米アップルの新機種「iPhone5s・5c」でKDDIは、待望のプラチナバンド(八〇〇~九〇〇メガヘルツ帯)が加わる。
本誌が予想してきたとおり、NTTドコモによるiPhone参入が決まり、日本の通信三社すべてがiPhoneを取り扱う「代理店」競争が始まった。端末や、キャリア独自のサービスで特色を打ち出せなくなる中、もはや通信会社のサービスの差別化はネットワークのつながりやすさ以外になくなりつつある。
これまでたびたび通信障害を起こしてきた二・一ギガヘルツ帯の周波数に加え、プラチナバンドを手に入れたKDDIは、ネットワーク品質ではドコモとは対等、ソフトバンクには一歩先んじるポテンシャルを持ったことになり、田中社長の自信はそうしたところから来るのだろう。
だが、「盗人猛々しい、とはこのことか」とある通信業界関係者は憤る。・・・