住友商事が抱える「時限爆弾」
出遅れたアフリカ資源案件で大火傷
2013年10月号
その人事に、経済産業省首脳の一人は怨嗟の声を上げた。
「まだ禊は終わっていない!」
六月二十一日、住友商事が株主総会後の取締役会で、元経産事務次官の松永和夫氏を社外取締役に迎え入れたからである。松永氏といえば、東京電力・福島第一原発事故発生時の同省事務方トップ。事故収束や他の原発再稼働をめぐり、当時の民主党・菅直人首相と対立したばかりでなく、原子力安全・保安院(現原子力規制庁)の院長時代に原発の津波対策をなおざりにしたとして、事故の“A級戦犯”と目された人物だ。
二〇一一年八月に引責辞任したが、その際、退職勧奨割増金を含む約七千五百万円の退職金を手に霞が関を去ったことはまだ人々の記憶に新しい。それから二年足らずで産業界へ返り咲くことには、経産省内にも批判の声がある。いや、誰より住商の岡素之相談役が強い難色を示したという。それを押し切ったのは中村邦晴社長だった。経産省首脳の一人が続ける。
「住商は下手をすると、期間純利益が吹っ飛ぶほどの“時限爆弾”を抱えている。その対策の・・・