《土着権力の研究》 和歌山県 中村裕一県議会議員
「二階土建王国」を支える「子飼い」
2013年10月号
今年六月二十二日、自民党国土強靭化総合調査会会長を務める二階俊博・元経済産業大臣の選挙区、和歌山三区内にある阪和自動車道「有田(有田川町)~南紀田辺(田辺市)」の四車線化事業が着手された。鍬入れ式には、二階氏をはじめ県選出国会議員、「二階チルドレン」とも呼ばれる中村裕一県議ら多くの県議会議員や首長ら地元有力者が勢揃いした。
実は、総延長四十六・六キロに及ぶこの四車線化事業のうち、南側の二十七・二キロ(御坊~南紀田辺間)は、民主党政権時代に事業が凍結されていた路線だ。理由は「大阪に近い北側の『有田~御坊』が二車線なのに、人口が少ない南側で先に四車線化が進むのはおかしい」という真っ当なもの。ならばと、北側の区間(十九・四キロ)の四車線化もセットで着手、当初の二倍弱の四十六・六キロに事業拡大した上で凍結を解除したという驚くべき経緯をたどったのが今回の四車線化事業だ。人口が百万人を切った和歌山県、ましてや紀伊半島の過疎地域を抱える和歌山三区の人口は三十二万人弱にすぎない。そこで、“ゾンビ事業”を復活させたばかりか、総事業費を七百四十・・・