「軍産複合体」に屈した習近平
利権の本丸「石油閥」摘発は腰砕け
2013年10月号
中国四川省の西昌衛星発射センターに九月中旬、月面探査機を載せたロケット「嫦娥三号」の搬入が始まった。西昌の別名は「月城」。チベット高原に続く海抜一千五百メートルの高地にあり、夜空に美しい月が輝くことで知られている。その月に無人探査機を着陸させ、月面で天体観測をするというのが嫦娥三号の任務だ。中国は米露に続き、月面にロケットを到達させる第三の国になる。これは文字通り、中国軍の宇宙戦争技術が米露に接近することを意味する。
発射は十一月の予定と言われている。習近平国家主席が中国共産党の総書記に選ばれた第十八回党大会から丸一年たつ十一月上旬には、三回目の中央委員会総会(三中全会)が開かれる。それまでに習近平は党内の反対勢力を粛清して独裁党の頂点に立たなくてはならない。嫦娥三号は、習近平の独裁権力が確立し、そのもとで李克強首相が改革開放路線を推進するという「習李体制」が固まったことを祝う、いわばセレモニーにほかならない。
だが、三中全会までに本当に習近平権力は固まるのか。嫦娥三号が本当に月面着陸に成功するかどうか保証はなく、さらに、政権安定の保証はそれ以上に心細いと言わなけ・・・