アルカーイダに逆恨みされるロシア
シリア情勢が「ソチ五輪」に飛び火する
2013年10月号
国際政治の矛盾が凝縮しているシリア情勢。反政府勢力やイスラム過激派の中では、アサド政権延命を「手助け」する欧米など国際社会への憎悪が増している。
「今後、反政府勢力の不満は世界の安定を揺るがす脅威になる。真っ先にターゲットになるのはロシアだろう」
湾岸カタールの国際政治学者はこう語った。これをテロリストの自分勝手な都合のいい論理と切り捨てるわけにはいかない。
「湾岸諸国では米国への失望以上にロシアへの憎悪が増している」
イスラム専門家の一人はこう語る。九月十日に米国のオバマ大統領が「米国は世界の警察ではない」という歴史的なスピーチを行った。この専門家が続ける。
「湾岸メディアの多くが、米国の腰抜けぶりを批判したが、ホワイトハウスの執務室にプーチンが座っている風刺画が、湾岸における空気を象徴している」
八月末に米情報機関が化学兵器の使用を報告し、九月中旬には国連の調査団もサリンの使用を断定した。にもかかわらずシリア攻撃をためらったのは米国の都合であり、オバマ政権の内向き志向によるものだということは議論の余地はない。しかし現地では、化学兵器の国際管理案を・・・