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ヨルダン王制にも不安が一杯

「中東最後の安全地帯」の内憂外患

2013年10月号

 中東最後の安全地帯―。ヨルダン・ハシミテ王国は最近このように呼ばれている。悲劇的な内戦下にあるシリアや宗派対立が続くレバノン、テロの嵐が吹き荒れるイラク、入植と強制追放に苛まれるパレスチナ、軍政権と同胞団がにらみ合うエジプト。莫大な石油利益に支えられる別格の湾岸諸国を除けば、もはやヨルダン人が気軽に訪れることのできる隣国は存在しない。しかし、内憂外患にあえぐこの小国も一歩道を誤れば同じく火の海に巻き込まれる可能性がある。そのため、均衡維持を担う国王の一挙一動までもが厳しい監視と批判の目に晒されている。 外国への依存が国政の基本  シリアへの軍事介入が叫ばれる中、先日首都アンマンを訪れた筆者に現地の有識者や在留邦人は、募る不安を口にした。イラク難民は一時期五十万人に達したとされるが、今やシリア難民数はそれを上回る。現状が続けば、シリア人だけでヨルダンの人口の一割に達する勢いだ。命からがら逃げてきた難民は、ザアタリ・キャンプや都市郊外の不衛生な環境で絶望的な生活を強いられているが、基本的に選択肢はない。物理的、精神的に追い詰められれば、それだけ非合法活動・・・