三期目メルケルの憂鬱
のしかかる「東独」という宿題
2013年10月号
ドイツ総選挙は、アンゲラ・メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の独り勝ちに終わった。三期目に入るメルケル政権は、欧州政策の行方ばかりが注目されるが、最大の懸案は依然、首相の出身地である旧東独地域の振興である。再統一から二十三年、二百兆円の投資を経ながら、経済低迷と人口減、ネオナチの闇が国の東部を厚く覆っている。
選挙戦終盤の九月半ば、ライプツィヒの歌劇場前で、騒動が起きた。ネオナチ政党「ドイツ国家民主党(NPD)」のトラック「旗艦D号」が広場に到着すると、待ち構えた反ネオナチ活動家たち数百人から怒号が飛んだ。この後、ネオナチと反対派は市内各地を追いかけっこし、旧市街は終夜騒然とした。
この前週には、ホルガー・アプフェルNPD党首らネオナチ幹部が、バイエルン州の小都市で集会を組織した。ここにも反対派が駆けつけ、警官隊とともに三つ巴のにらみあいになった。ネオナチが消火器を取り出し、通行人に消火液を浴びせかけたところで、一斉逮捕。幹部たちは、警察署内で記念撮影をしてフェイスブックに投稿し、愚かしい騒動をPRに使った。警察署内にシンパがいたのは間違・・・