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WORLD

「米後退」で国際秩序に異変

不安募らせる同盟諸国

2013年10月号特別リポート


 あまりにも派手で、変化に富んだマジックの連続に米国民のほとんどはいまだに信じられない思いをしている。米ロ外相がシリアの化学兵器廃棄の枠組みで合意したと発表した直後の九月十四日付ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)は「これでオバマ大統領と米国はシリアの外交的バザールにのめり込み、シリアのバシャール・アサド大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は愛想のいい地元旅行案内人としてオバマ大統領を使いこなしている」と自嘲的な社説を書いた。ジョン・ケリー国務長官は二週間前まで「アサドこそは今年になって大量殺戮兵器を何回となく使った凶漢であり、人殺しだ」と騒いでいたのが、いまはどうか。ダマスカス郊外に至る道路に戦車をひっくり返し、イラクに中身を公開させる「良心的な人物」になってしまった。

 人気低落のオバマ大統領は来年の中間選挙への影響を心配しているのかもしれないが、問題はそんなに小さくない。世界の秩序の心棒が溶融し始めたとの印象が次第に波紋を描いていくと、米国との同盟、友好関係が知らず知らずのうちに弛緩し、冷戦終焉後に見られた米国一極時代が新しい合従連・・・