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連載

Book Reviewing Globe 352 

中国が夢見る本物の「富強」

2013年9月号

Wealth and Power China’s Long March to the Twenty-First Century

 習近平国家主席の掲げる「中国の夢」は、「富強」である。

 その概念の歴史的意味合いを阿片戦争までさかのぼって説き起こし、それを達成したかに見える中国が抱える課題を明らかにするのがこの本のねらいである。

 その際、歴史上のdramatis pe
rsonae(配役)を十一人選び、彼らの「富強」観とそれに向けての闘争の物語を展開する。魏源、西太后、梁啓超、孫文、陳独秀、蒋介石、毛沢東、鄧小平、朱鎔基、劉暁波といった人々がここには含まれている。

「富強」は、フランス革命の「自由、平等、友愛」のような普遍的価値を称えた概念ではない。それは理想的な世界という目的ではなく実務的な中華を目指す手段の概念である。

 そこには「恥は努力を刺激する」という儒教的な伝統が横たわっている。つまり、国の恥を雪げ、と言い続けることで国民に艱難辛苦をわきまえ・・・