混迷の「アフリカ連合」
「盟主」失い求心力低下
2013年9月号
今年五月、アフリカ連合(AU)は前身のアフリカ統一機構(OAU)設立から五十周年を迎えた。しかし、カダフィという「盟主」を失ったAUは統制を失うだけでなく、各国が対立し加盟国内での紛争やテロが頻発している。アフリカ諸国で取材を続ける英国人ジャーナリストはこう語る。
「リビアのカダフィ政権が倒れてから二年が経過し、アフリカ大陸におけるカダフィの存在の大きさが再認識されている」
ソマリアを巡り対立激化
カダフィ亡き後、その影響が如実に表れAU崩壊が浮き彫りになっているのが、ソマリアを巡る各国の対立だ。ソマリアでのイスラム過激派によるテロは七月にも発生し、国連機関が襲撃され死亡者が出ている。
そもそも一九九〇年代から無政府状態となったこの国では、二〇〇七年以降にイスラムテロ組織「アル・シャバブ」が隆盛を誇り、アルカーイダとも手を組んで全土制圧目前まで迫った。アル・シャバブの勢力拡大に対してAUは「アフリカ連合ソマリア平和維持部隊(AMISOM)」の展開を図ったが、当初兵力提供に応じたのはウガンダとブルンジの二カ国に過ぎなかった。両国はAU各国に対し・・・