めでたくもない英王室
「ダイアナ謀殺説」が消えない理由
2013年9月号
終わったはずの「事故」が、再び舞台上に引き摺り戻された。八月十七日、英国メディアは一斉に「ダイアナ元妃事故死再捜査」を報じた。一九九七年にパリで事故死したダイアナ元妃について謀殺説は根強くあった。英国捜査当局も放置していたわけではなく、むしろ入念な捜査をしていたように見えた。二〇〇八年になってようやく事件性なしと結論づけたが、今回唐突に再捜査が始まった。
ダイアナ元妃ほど王室内で疎まれ、王室外からの敬愛を受けた妃はいないだろう。
「ダイアナ元妃本人のその奔放な性格も一因ではあるが、そもそもの発端はコーンウォール公(皇太子)の無慈悲な振る舞いにある」
英国の王室担当記者の一人はこう語る。チャールズ皇太子は結婚当初から不倫を隠しもせず、冷たい仕打ちによって妃の心を無残に切り裂いた。今回の再捜査の行方は不透明だが、離婚から十七年が経過してなお、こうした問題が起きること自体がチャールズの因果応報なのだ。
「王室拒否権」という聖域
チャールズに起因する英王室の新たな問題として、英国人の興味を引きつけているのは、未来の国王となるジョージ王子を・・・