米国の政治がロビイストに牛耳られている。金融界や製造業界に加えて、情報技術（ＩＴ）業界が新たに強力なロビー団体に加わった。ロビイストたちは、連邦議会の議員や省庁高官を抱き込むばかりか、一見「草の根市民運動」のように映る非政府組織（ＮＧＯ）活動や、インターネット上でキャンペーンまで起こして、政府を動かす手法を磨いている。

　ワシントンの政治家はこれに対して、自ら政治献金を求めたり、政界引退後の就職先として頼ったりと、蜜に群がるアリのように既得権益側につき、米政治の構造的な腐敗を進めている。オバマ政権は、「政治改革」の看板を掲げてスタートしたものの、大企業の金力に妥協して、ロビイストの跳梁を止められないでいる。

　カネに踊らされる米政治は、国民の利益から乖離して方向を見失っている。

ロビー活動費を激増させたＩＴ業界

　八月のワシントンは、議会と官庁が夏休みに入り、暑い午後には人通りも絶える。だが、メディア業界に夏枯れはなかった。ワシントン・ポスト紙が、「アマゾン」創業者のジ・・・