公明党と米国が共闘
集団的自衛権問題は「当面先送り」
2013年9月号
集団的自衛権の行使容認や敵基地攻撃能力の保有論など安倍晋三政権は参院選の大勝を受け、タカ派色を強めている。これを苦々しい想いで注視しているのが、連立相手の公明党だ。同盟国の米国でも安倍内閣の「独走」に「自らアジアを流動化させるような言動を繰り広げている」(元政府高官)と警戒感が根強い。この公明党と米国が右傾化封じに向けて同一歩調を取り、安倍の見えない対抗軸となっている。
安倍内閣は二月に「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・元駐米大使柳井俊二)の議論を再開させた。これは第一次安倍内閣で発足した有識者の集まりだが、安倍の退陣で休眠状態に。懇談会は二月に再開の初会合を開き、二回目は開催されていない。連立相手で選挙協力でも不可欠な公明党が反対を貫くためで、官房長官菅義偉の主導で懇談会の議論は一時停止されたが、参院選が終わり、安倍周辺で新たなシナリオが描かれた。
九月中旬から懇談会の議論を本格化させて、集団的自衛権の行使を全面的に認めるよう求める報告書を十一月までに公表。さほど間をおかずに安倍がいずれかの場で憲法解釈の変更を表明する―。この動きに対して米国や公明党が・・・