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社会・文化

米国「安楽死」最新事情

徐々に広がる「合法化」容認論

2013年9月号

 米国で、安楽死の問題が盛んに議論されている。米国における尊厳死や安楽死の概念は、我が国とは異なっており、日本でいう尊厳死は、米国では「自然死」の範疇に入る。自然死は現在、米国のほとんどの州の安楽死法で、すでに容認されている。

 いま米国で大議論になっている問題は、「医師による自殺幇助」を認めるか否かである。すなわち、医師が処方した致死量の薬剤を、末期患者が自ら服用して死亡することが、許されるかどうかという問題だ。薬剤には、セコバルビタールなどが用いられる。この薬は、医療において、鎮静、麻酔薬として使用されるが、強い中枢神経抑制作用を持つため、大量投与すれば死に至る。米国では、この薬を使った安楽死が、徐々に合法化されつつあるのだ。

社会を二分する激しい議論

 まず、米国における「医師による自殺幇助」の歴史を振り返ってみたい。

 米国で初めて安楽死を合法化したのは、オレゴン州だ。一九九四年十一月に実施された住民投票で五一%、賛成票が半数をわずかに超えての決定だった。この結果に反対派は強く・・・