トヨタの窮状露呈「カローラHV」
年間一千万台達成に向けた「急造品」
2013年9月号
二〇一三年八月六日、トヨタ自動車は主力大衆車「カローラ」のラインナップに新たにハイブリッド車(HV)を追加した。その燃費性能はガソリン一リットル当たり三十三・〇キロメートル(JC08モード、以下同)と、同クラスのHV専用車「プリウス」の三十・四~三十二・六キロメートルを上回るとあって、発表は業界の注目を集めた。カローラといえば一九六六年の誕生からグローバルで四千万台を販売し、「大衆車」のカテゴリーを確立した名車だ。そのカローラにHVモデルを投入したのだから、トヨタにとっては盤石のHVシフトといえる。しかし、その開発をめぐるトヨタの内情から浮かび上がってくるのは、ほかならぬ同社の「焦り」だ。
「カローラHVの販売台数がプリウスを超えることを期待している」と、「カローラHV」の開発を担当した中村寛主査は胸を張る。ベースとなるガソリン車と比べて燃費効率は五〇%も向上、車両価格はセダンタイプの「カローラアクシオ」が百九十二万五千円からで、二百十七万円からのプリウスより約二十五万円安い。
ところが、開発者の強気の発言とは裏腹にカローラHVの月間販売目標はステーションワゴンタイプの・・・