凋落止まらぬ和製石油企業
アジア製油所ラッシュでも「蚊帳の外」
2013年9月号
中東地域における地政学的リスクの高まりを受け、原油価格が依然として高値で推移し、世界の原油価格の指標の一つである北海ブレント原油は一バレル百十ドルを超えている。だが、世界全体の石油消費、とりわけアジア地域の石油消費は着実に増加を続けている。二〇一二年に欧米諸国の石油需要がマイナスに転落したのに対して、アジア大洋州の石油需要の伸びは年率三・七%に達した。一三年には途上国の石油消費量が、歴史上初めて先進国のそれを上回ることになりそうだ。
国内の石油精製能力が不足するインド、ベトナム、インドネシアでは、石油製品の輸入が増加していることから、国営石油企業と国際石油資本(メジャー)が一体となった製油所建設計画が目白押しだ。中国、インド、ASEAN諸国では現在二十カ所を超える石油精製・石油化学コンビナート建設計画が進んでおり、「製油所建設ラッシュ」の様相を呈している。
こうしたアジアにおける製油所建設ラッシュで、欧米メジャーと中国系国営石油企業が熾烈な陣取り合戦を繰り広げる中、まったく「蚊帳の外」状態なのが、かつて世界第二位の石油市場を誇った日本の石油精製・元売り企業である。
・・・