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経済

IBMが恒例の「首切り」を再開

安倍内閣の「解雇自由化」を先取り

2013年9月号

 いまや日本IBMの年中行事になった感もある「首切り」が、ここにきて再び猛威をふるっている。 「宣告」があるのは決まって午後五時すぎ。大学卒業後、日本IBMに正社員として採用され、システムの運用・管理などに携わってきたAさん(四十五歳)の場合もそうだった。 「五月三十一日の午後五時すぎ、直属上司に呼ばれて、責任者として取り組んできたプロジェクトの進捗を報告していた時のことです。その部屋に突然、上長とHRパートナー(人事担当者)が入ってきて、『解雇予告通知および解雇理由証明書』を読み上げたのです」  解雇の「理由」は、次のように記されていた。 「貴殿は、業績が低い状態が続いており、その間、会社は職掌や担当範囲の変更を試みたにもかかわらず業績の改善がなされず、会社は、もはやこの状態を放っておくことができないと判断しました」  呆然とする彼女に上長は、同社の定時退社時刻である五時三十六分までに私物をまとめて出ていき、明日から出社しないよう告げた。入館証も取り上げ、「他の人と話すことは避けてください」とも指示したという。  従業員を会社からいきなり叩き出すこ・・・