「安倍―菅」関係に危機の秋
ガラス細工の「官邸パワーバランス」
2013年9月号
「これから二十年間にわたって年率三~四%の経済成長を続けていく。まず十年間を頑張ってGDP(国内総生産)を六百兆円に乗せる」
首相安倍晋三が夏休み中に漏らした発言の波紋が静かに広がっている。安倍はもともと「消費税率を上げても税収が減っては元も子もない」というのが持論だ。税率アップにこだわる財務省を「税率至上主義者」とさえ呼ぶ。安倍はアベノミクスによる円安・株高効果により二〇一三年度は約四兆円の税収増が見込まれるとして、消費税率アップによる「景気の腰折れ」(安倍)を極度に警戒する。
このため一時は沈静化していた消費税率アップ先送りの見方が再び強まる。アベノミクスの理論的支柱で内閣官房参与・静岡県立大学教授の本田悦朗は「理は我にあり」と言わんばかりに、来年四月からの三%引き上げに反対の論陣を張る。安倍が夏休み中に山梨県鳴沢村の別荘に本田を招き、一緒にゴルフをプレーしたことも疑心暗鬼を増幅させた。
これに乗じるかのように、もはや「安倍後援会の機関紙のようだ」と揶揄される読売新聞は、八月二十日付朝刊で「デフレ状況―『・・・