「日本の医療界を支配するのは自治医大だ」

　某国立大学医学部教授の一人はこう指摘する。日本の医学界は東京大学医学部を一つの頂点とする確固たるヒエラルキーの下に成立してきた。この構図は現在でも存在するが、並行して栃木県の一私大である自治医科大学が隠然たる権力と影響力を行使している。厚生労働省担当の全国紙記者はそのからくりをこう解説した。

「自治医大学長を長年務めた医学界のドン、高久史麿が自治医大の特殊な立場を利用して自らの権力を行使してきた結果、巨大な利権装置と化した」

　今や自治医大関係者が医療行政を左右しうる立場にあり、その悪影響は公金の無駄遣いといったレベルに留まらず、国民の健康を脅かそうとさえしている。

総務省所管の「特殊」な医大

　高久と自治医大による医学界支配の力は、前述した同大の「特殊」な立場の結果生じた。国公立・私立を問わず、あらゆる大学医学部は文部科学省の支配下にある。また、医師養成や医療サービスの提供といった分野については厚労省の管・・・