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WORLD

ホワイトハウスは「機能不全」

「世界秩序維持者」がいなくなった

2013年9月号特別リポート

 シリアの政府軍が化学兵器を使用したとして、オバマ政権はようやくファイティング・ポーズを示したが、基本的には機能不全に陥っているとしか言いようがない。内政、外交がさっぱり動かないのである。とりわけ国際秩序の維持者として戦後歴代の大統領が発揮してきたリーダーシップはどこかに消えてなくなってしまった。一期目に貼られたレッテルは「バンド・オブ・ブラザーズ(兄弟楽団)」だったが、最近はそれがさらに強まり信頼できる側近が妻のミシェル、大統領補佐官(国家安全保障担当)のスーザン・ライス、長年にわたって二人三脚を続けてきた大統領上級顧問のバレリー・ジャレットらに絞られてきてしまった。三人ともアフリカ系の米国人だ。ジョン・ケリー国務長官は話し合いと交渉に重点を置く外交を展開しており、チャック・ヘーゲル国防長官の主要な仕事は国防関係予算の削減だ。しかも、この二人の重要閣僚はホワイトハウスの最終決定には加わっていない。

 ヒスパニック人口の急増が米国の言語、習慣などの文化、経済、政治を変える傾向を指摘して、サミュエル・ハンチントン・ハーバード大学教授は九年前に「われわれは何者か・・・