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連載

続・不養生のすすめ32 

食肉タブーの源流
柴田 博

2013年8月号

 奇妙な偶然が起こるものである。去る一月二十五日、筆者は、拙書『肉を食べる人は長生きする』(PHP研究所)を上梓した。ちょうど同じ頃、若杉友子氏の『長生きしたけりゃ肉は食べるな』(幻冬舎)が発刊されたのである。著者の生まれ年が一九三七年で同じというオマケまでついている。装丁まで似ていて、白をバックに赤と黒のタテ書きのタイトルがついている。

 この「やらせ」ではないかと思われるほどの偶然はマスコミの注意を集めた。読売新聞、『週刊文春』などがいち早く両者の対立点を紹介した。『アエラ』は、両者の論点を整理し、いずれが正しいかを三人のジャッジに判定させる凝った趣向の特集を組んだ。この他、若杉さんと筆者の誌上ディベートを企画した週刊誌やムックが少なからずあった。しかし、若杉さんの都合がつかず、筆者の主張のみの記事、あるいは、別な方々との対談という形にしかならなかった。

 筆者にとってはこの偶然は幸運であった。三カ月あまりで重版できたのは、これまでの筆者の著書の中では最速であった。しかし、売れ行きは若杉さんの本の方がはるかに勝っており、十倍、ひょっとする・・・