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政治

「首相動静」の虚実

新聞「三行広告」に群がる輩たち

2013年8月号

 時の最高権力者が誰と何時に、どこで会ったか。新聞各紙に毎日掲載されている首相の動き。その名称は、朝日新聞が「首相動静」、毎日新聞が「首相日々」、読売新聞は「安倍首相の一日」と異なるが、各紙の総理番がすり合わせるため寸分たがわない。政治家にせよ、官僚にせよ、首相と会うことは政局や政策の決定過程で重要な局面であるケースが少なくない。いわば「ダムの放水口」のごとく、情報の源泉なのだ。それゆえ、政治記事の中でもこの「ベタ記事」(以下、首相動静)の注目度は高い。  これを逆手に取る形で、首相動静による存在感のアピールに躍起となる輩が後を絶たない。第二次安倍晋三内閣で財界人の筆頭は、東芝相談役の岡村正日本商工会議所会頭。首相就任直後の二〇一二年十二月二十八日にサシで会談して以来、五回も会っている。参院選の選挙運動期間を差し引けば、ほぼ一カ月に一回のペースだ。このうち二回は米倉弘昌経団連会長、長谷川閑史経済同友会代表幹事が同席。自民党の政権復帰に伴う財界の政権へのすり寄りが読み取れる。 首相にしっぽを振るための訪問  かつて経団連会長は「財界総理」の異名で呼ばれ・・・