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経済

日産の勝算なき ベトナム事業

狡猾な「盟友」の罠にはまる

2013年8月号

 日産自動車にまた一つ汚点が増えそうだ。日産はこの六月、ベトナムにおける現地合弁会社の新工場ではじめて、自前の現地組立車となる小型セダン「サニー」の生産、発売を開始した。同社幹部は、「ベトナム事業戦略の第二幕が始まった」(日産のアジア・オセアニア事業担当者)と意気込むが、なぜか周囲ではそれを嘲笑するかのように、「日産は完全に戦略を読み違えている。前途多難」(日系商社ホーチミン駐在員)との声が圧倒的だ。  二〇〇八年から始まった日産のベトナム進出の「第一幕」は三年足らずで頓座。今回、再進出となった第二幕でも同じ憂き目に遭う可能性が高いというのだ。 完成車メーカーを目指す合弁相手  日産のベトナム拠点「ベトナム日産」は、マレーシアを本拠とする華人グループのタンチョン・モーター七四%、日産二六%出資という合弁会社である。今回出荷を開始した新工場は、ベトナム中部ダナン市にあるホアカン工業団地内に一二年九月完成したもので、今年四月から稼働を開始していた。  合弁相手のタンチョンは、かつてはマレーシアにおける日産の販売代理店に過ぎなかったが、日産の庇護の下・・・