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経済

《クローズ・アップ》川村 隆(日立製作所会長)

消去法の末の「経団連会長候補」

2013年8月号

 かつて、変わらぬ政治に苦言を呈した財界人は少なからずおり、その舌鋒の鋭さに国民が喝采を送ることもあった。だが、逆に変わらぬ財界に文句を言う人は少ない。伝統のある大手企業がスクラムを組む財界を批判すれば反発や報復がどこから飛んでくるかわからないからだ。政治家は選挙の洗礼を必ず受けるが、大手企業や経済団体のトップ選びに民意は働かない。

 七十六歳の米倉弘昌・日本経済団体連合会会長が後任選びに苦吟している。二年前には東芝の西田厚聰会長が最有力候補として注目され、昨年はコマツの坂根正弘会長(現特別顧問)が浮上した。年初からは東芝の佐々木則夫社長(現副会長)の名前があがり、今、最有力と目されているのは日立製作所の川村隆会長(七十三歳)だ。西田、佐々木の両候補が消えたのは東芝社内の内紛が原因だ。坂根氏に対しては・社格”が問題にされた。高収益でグローバル展開に成功しているとはいえ、財界では傍流。キヤノンですら会長銘柄としては力不足といわれた経団連ではやはり無理筋だった。

 そんな経緯はあったとしても、今さら日立の会長が「財界総理」候補として期・・・