三井住友信託に子会社「上場計画」
野村から「札付き」登用の内幕
2013年8月号
六月初旬、金融業界におけるある「トップ人事」の情報を巡って、野村ホールディングスには衝撃が走っていた。
かつての同社の最高幹部が競合他社の取締役会長へと「華麗なる転身」を遂げるという情報である。その人物とは、昨年七月まで野村ホールディングスのグループCOO、つまり、ナンバー2の要職にあった柴田拓美氏。六月六日、日興アセットマネジメントから柴田氏の代表取締役会長就任の正式発表を受け、野村内部には「まさか!」の声が広がった。
野村に限らず、この人事には、証券、銀行業界からも驚きの声があがった。その背景には昨年、野村グループを危機的状況に陥らせた張本人の一人が、ほかならぬ柴田氏だという共通の認識がある。グループ傘下の野村證券において発覚した公募増資情報関連の「インサイダー事件」で世間の激しい批判を受け、金融庁からも厳しい行政処分を突き付けられたのは記憶に新しい。
その際、金融庁処分の前段にあった証券取引等監視委員会の特別検査では、野村グループは極端なほど非協力的な態度を取り続けたことが指摘されており、それがその後の経営問題への発展、渡部賢一グループCEO、柴田COO・・・