「再浮上」遠のくソニー
資産売却で黒字転換の「ジリ貧」
2013年8月号
「子会社への出向を受け入れないなら給料は三割カットだ、と言われた」―。七月二十三日、ソニーの「キャリアデザイン室」に所属していた五十代の男性ら二名が、子会社への出向命令の無効を求める労働審判を仙台地方裁判所に申し立てた。なぜ仙台地裁なのかといえば、この二人はすでに、宮城県登米市にあるソニーの物流系子会社に飛ばされているからだ。冒頭のように上司から宣告され、子会社への出向を受け入れたが、裁判で争っている。
キャリアデザイン室―。悪名高きソニーの「追い出し部屋」だ。東京・品川にあるソニーの旧本社ビル八階にある。かつて同じフロアには、ソニーの大賀典雄会長や出井伸之社長の執務室があった。
キャリアデザイン室では、リストラ候補の社員が日がな一日パソコンに向かい、自己研鑽と称して英語や特許の「自習」をする。在籍期間が長ければ長いほど基本給は減らされていくという。「(基本給から算定する)早期退職割増金が高いうちに辞めたほうが得」というリストラ候補たちの心理につけこんだ巧妙なシステムだ。
ここから輩出された「ソニーOB」は多い。いや「排出」というべきか。ソニーショックの二〇〇三・・・