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経済

ゼネコンが群がる「防潮堤利権」

もはや被災地さえ望んでいない

2013年8月号

 東日本大震災の被災地では、二年以上経った今も仮設住宅での生活を余儀なくされるなど震災復興や生活再建は遅々として進んでいない。その一方で、利権化した巨大公共事業が「復興」の名の下に大手を振って推進されている。「高台移転」事業や「三陸自動車道」計画の「欺瞞」はすでに本誌が指摘しているとおりだが、「巨大防潮堤」建設も忘れてはならないその代表的な事業だ。 「千年に一度」の大津波に備えた巨大防潮堤建設に対し、すでに被災地からは「三陸海岸の景観を破壊する」「漁業振興や観光振興に逆行」「税金の無駄」といった疑問の声が出ているが、利権で潤う建設業界などの攻勢の前に、そうした声は封殺され、建設をゴリ押しする動きが次々と伝わってくる。  先の参議院選挙では、被災地岩手に二度も入った安倍晋三首相が、「自民党政権になって震災関連予算を増やし、復興は加速化した」と自画自賛したが、いまゼネコン各社が群がるこの巨大防潮堤計画こそ、自民党による「国土強靭化計画」が暴走するかどうかの「分岐点」との見方がある。 復興に名を借りた「ゼネコン支援」  岩手県陸前高田市―。二百三十億・・・