三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

《日本のサンクチュアリ》スポーツマフィア 電通

競技団体・スポンサー・メディアを支配

2013年8月号

 日本は、先進国である米国に次ぐ「スポーツ・ビジネス大国」である。各種プロスポーツ競技はもちろん、アマチュアスポーツ大会の多くにも企業スポンサーがつきテレビ放映される。

「日本のスポーツ・ビジネスに黎明期から携わってきたのが電通。JOC(日本オリンピック委員会)を筆頭として全面的にサポートしてきた。これが日本のスポーツ文化を発展させたが、その一方で業界を牛耳り、悪影響を与えた」

 電通のスポーツとのかかわりを見てきた電通OBは自戒を込めてこう語った。言わずと知れたガリバー広告代理店の電通は、一九八〇年代からスポーツへの関与を深めてきた。その中核を担うのがスポーツ局であり、この国のあらゆる競技団体はもちろん、スポンサー、メディアを支配する。

有力選手を囲い込む


 東京・汐留にそびえ立つ電通本社ビル。この六階にスポーツ局はあり、社員百五十人余り、派遣を含めれば約百八十人のスタッフが詰め、大小さまざまな競技やイベント、選手のスポンサー、運営、PR、放映権などについて決定が下され・・・