続・不養生のすすめ31
「脳トレ」と認知症予防の嘘
柴田 博
2013年7月号
認知症をめぐる論議がかまびすしい。かまびすしいという表現は不謹慎のそしりを受けるかもしれない。最近、中高年女性の間で、「ガンで死にたい」と願っている人がふえているという指摘もある。理由は「ガンで死ぬ人は認知症にならない」ということのようである。これには一面の真理がある。ガンによる痛みのような刺戟は、ある程度まで人間の精神活動を活醗にするかもしれない。しかし、このいわれの本質は別である。ガンで死ぬ人は比較的若く、認知症の多発年齢に達していないということである。認知症が多発する年齢になるとガンを抱えていてもそれで死なず、肺炎や脳卒中など別な原因で死ぬことになる。これは天寿ガンとよばれる。
ともあれ、世界一に近い余命を誇る日本の中高年女性が、最も苦痛が多いとされるガンにかかって早々とあの世に旅立ちたいと願うとは、由々しき事態である。これはひとえに専門家やマスコミの脅迫に起因している。認知症が近い将来○百万人になるといった記事が溢れている。しかし誤解してはならない。これは高齢人口の増加により認知症患者の数がふえることを示しているに過ぎない。年齢調整後の、あるいは特定の・・・
ともあれ、世界一に近い余命を誇る日本の中高年女性が、最も苦痛が多いとされるガンにかかって早々とあの世に旅立ちたいと願うとは、由々しき事態である。これはひとえに専門家やマスコミの脅迫に起因している。認知症が近い将来○百万人になるといった記事が溢れている。しかし誤解してはならない。これは高齢人口の増加により認知症患者の数がふえることを示しているに過ぎない。年齢調整後の、あるいは特定の・・・