日本の科学アラカルト35
GDPの三%が「消える」 摩擦損失を低減する研究
2013年7月号
日本では今年に入りメタンハイドレートの試掘が始まったが、ガス自体が固体のため採掘のハードルはまだ高い。およそ百年分のエネルギー資源が周辺海域に眠るといわれながら、日本はいまだエネルギー輸入国であり、原発再稼働の目処が立たぬ中で粛々と化石エネルギーを他国から買うしかない。
新たなエネルギー開発が重要であることはいうまでもないが、日本にとってはエネルギーをどれだけ効率よく使用するか、つまり「省エネ」という使い古されたテーマもいまだ最重要課題である。
トライボロジーという聞きなれない学術分野がある。平易に直すと、摩擦に関する研究を行う学問だ。摩擦は、物質と物質が接触するありとあらゆる場所に存在する。仮に摩擦がこの世に存在しなければ、人間の歩行もままならない一方で、摩擦によるエネルギー損失は古いながらも工学分野が永久にとらわれるテーマだ。ありとあらゆる機器が駆動する際には摩擦による熱損失があり、たとえば自動車の場合、ガソリンの燃焼エネルギーの約三〇%が駆動とは関係なく摩擦により無駄に消える。
日本はこのトライボロジーの分・・・
新たなエネルギー開発が重要であることはいうまでもないが、日本にとってはエネルギーをどれだけ効率よく使用するか、つまり「省エネ」という使い古されたテーマもいまだ最重要課題である。
トライボロジーという聞きなれない学術分野がある。平易に直すと、摩擦に関する研究を行う学問だ。摩擦は、物質と物質が接触するありとあらゆる場所に存在する。仮に摩擦がこの世に存在しなければ、人間の歩行もままならない一方で、摩擦によるエネルギー損失は古いながらも工学分野が永久にとらわれるテーマだ。ありとあらゆる機器が駆動する際には摩擦による熱損失があり、たとえば自動車の場合、ガソリンの燃焼エネルギーの約三〇%が駆動とは関係なく摩擦により無駄に消える。
日本はこのトライボロジーの分・・・