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連載

皇室の風59 

かくすればかくなるものと
岩井克己

2013年7月号

 かくすれば、かくなるものと解っていただきたいと足を運ぶのだが、世の視線が厳しくなっているということがなかなか解っていただけない……」

 かつて皇太子と直に語らった宮内庁幹部の嘆息を思い出す。

 皇太子家に仕えたが雅子妃の信頼が得られないまま去った元側近は、「殿下は解っておられるのでは。ただ、妃殿下と激しいやりとりとなるのは避けたいのだと思う」と語り、自らにも言い聞かせるように繰り返した。「殿下は解っておられると思いますが……」。

 皇太子夫妻の結婚二十年の節目(六月九日)に、十年に及ぶ雅子妃の「体調の波」について、ぜひとも夫妻あるいは主治医らから丁寧な説明や見通しを示すべきだと本連載などで書いてきたが、目立った反応はなかった。

 結婚二十年に際し、メディアには元側近や友人らが登場し、さまざまにコメントや手記を寄せた。しかし、多くは具体性を欠く主観的擁護にとどまった。批判的報道を「バッシング」「ステレオタイプの批判」などと決めつけるだけで抑え込・・・