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経済

トヨタの北米事業に 変調の「予兆」

高級エコカー市場で強敵出現

2013年7月号

二〇一三年五月、電気自動車(EV)メーカーの米テスラモーターズが同年第1四半期(一~三月)決算で初の黒字を達成したことが明らかになり、自動車業界を驚かせた。それもそのはず、日産自動車のカルロス・ゴーン社長が社運を賭けて市場に送り出したEV「リーフ」は鳴かず飛ばず。米国政府も一三年早々に自国市場でEVの販売が急減したのを受けて、オバマ米大統領がぶちあげた「一五年までに米国内のEVを百万台に増やす」構想を事実上取り下げてもいた。いわば、「死んだ」と思われたEVに差し込んだ一筋の「希望の光」――それがテスラの黒字転換だった。  テスラといえばトヨタ自動車がEVの共同開発で手を組んでいるベンチャー企業。提携相手のトヨタもさぞ上機嫌かと思いきや、なぜか彼らの顔色は冴えない。 提携相手の望まぬ「成功」  黒字転換を果たした結果、テスラの株価は百ドルの大台を超えた。シリコンバレーのベンチャー企業にすぎなかった同社の時価総額は百億ドルを超え、大手自動車メーカーの一角である三菱自動車や伊フィアットを追い抜いた。成功の理由はスポーティーな高級車市場にターゲットを絞ったこ・・・