関係者の間では、早くも「泣き寝入り」の公算が大きくなっている。日本の政府開発援助（ＯＤＡ）事業で請け負ったベトナムの高速道路建設事業でスーパーゼネコンの大林組がはまり込んだ不毛な「法廷闘争」だ。 　同事業は、建設地の一角で土地収用が暗礁に乗り上げて工事が一時中断、そのうえ都市計画の変更に伴って想定外の設計図変更などのトラブルも重なり、トンネルの水漏れや道路陥没を引き起こした末、膨らんだ事業費は当初予算を大きく上回ることになった。施主であるホーチミン市からの度重なる難癖にも手を焼き、工事費用の上乗せを求めてきた大林組は今年三月、ついには「国際仲裁裁判所」アジア支部（香港）に泣きつく、という醜態を曝しているのだ。 　だが、これまで同裁判所に持ち込まれた同種のベトナム案件で勝利を勝ち取った外国建設会社のケースはほとんどないことから、ここにきて大林組の海外プロジェクト関連部署では、「時間ばかりが経ち、得るところがない。訴状を取り下げて早々に手打ちすべき」との声が持ち上がっているという。 逮捕者も出た「曰く付きの案件」 「サイゴン東西ハイウェイ」―、ホ・・・