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政治

《罪深きはこの官僚》 杉山晋輔 (政務担当外交審議官)

2億円の税金を詐取した無能外交官

2013年7月号

 六月二十八日に発令された外務省人事で、齋木昭隆事務次官が満を持して誕生した。順当な「安倍シフト」だが、齋木が座っていた外務審議官(政務担当)の後任人事が、静かな波紋を広げている。

 アジア大洋州局長から新審議官に座ったのは杉山晋輔だ。局長に就いた二〇一一年以降、主に対中、対韓外交の責任を担ってきたが、この間に両国との関係は悪化の一途を辿ってきた。ただしこれは、中国や韓国の国内事情に起因する部分が大きい。杉山がヘタを打ったのとは異なり、有能とはいえないが、これが問題なのではない。

「機密費詐取の張本人でありながらここまで出世させていいのか」

 外務省OBの一人は疑問を呈する。〇一年に発覚したいわゆる外務省機密費流用事件では、約七億円を着服して競走馬などを購入していたノンキャリア外交官が逮捕・起訴され有罪判決を受けた。しかし、杉山も渦中の人物であった。

 杉山は一九七七年に早稲田大学法学部を中退し外務省に入省。九三年八月に大臣官房に入り事務次官秘書となった。そしてこの後二年間に二億円の外交報償費(機密・・・

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