安倍VS内閣法制局「水面下の抗争」
「集団的自衛権」解釈問題の行方
2013年7月号
参院選の前哨戦と位置づけられた東京都議選で、自民党は公明党とともに全員が議席を獲得した。この流れが七月二十一日投開票の参院選までに大きく変わるとは考えにくく、安倍晋三首相はこれに勝利後、本格的に「安倍カラー」を打ち出していくとみられる。
その第一歩が、これまで「権利はあるが憲法上、行使はできない」というねじくれた見解が採られてきた集団的自衛権に関する政府解釈の見直しである。
「例えば公海上で日本の船を警護するためにいる米艦船に対して、ミサイルが飛んできた。近くにいた日本のイージス艦がそれを察知し、撃ち落とす能力も持っていた。見過ごせば何百人もの米兵が死ぬ。そうなれば、日米安保体制は『終わりの始まり』になるでしょう」
安倍首相は月刊誌『中央公論』七月号でジャーナリストの田原総一朗氏のインタビューに答え、集団的自衛権の政府解釈見直しの必要性をこう指摘した。現行解釈ではこの場合、日本のイージス艦は「何もできない」からだ。
「政府解釈を死守しろ」
駐ワシントン日本大使館勤務経験のある外務省幹部も、こんな懸念を隠さない。
「米国では政・・・